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心理学概論における主要概念の解説

1. 記憶の過程（符号化、貯蔵、想起）と記憶の種類

記憶とは、経験を符号化し、貯蔵し、想起する過程である。この過程は、情報処理モデルを用いて説明されることが多い。まず、符号化は、感覚情報が脳内で神経信号に変換され、意味のある情報として表現される過程である。例えば、見た景色を脳内で「青い空、白い雲」といった言葉やイメージに変換する。次に、貯蔵は、符号化された情報を脳内に保持する過程である。これは、感覚記憶、短期記憶、長期記憶といった異なる記憶システムによって行われる。感覚記憶は非常に短く、数秒しか持続しないが、容量は大きい。短期記憶は、数秒から数分間保持され、容量は限られている（7±2チャンク）。長期記憶は、比較的永続的で容量も大きい。最後に、想起は、貯蔵された情報を意識的に取り出す過程である。想起は、手がかりやコンテキストによって影響を受ける。

記憶の種類としては、宣言的記憶（エピソード記憶と意味記憶）と非宣言的記憶（手続き記憶、プライミング、条件づけなど）がある。エピソード記憶は、個人的な経験に関する記憶（例：昨日の夕食）であり、意味記憶は、事実や知識に関する記憶（例：日本の首都は東京）である。手続き記憶は、スキルや習慣に関する記憶（例：自転車に乗る）であり、意識的に想起できないことが多い。

記憶研究には、実験心理学の手法が用いられる。例えば、自由想起課題や再認課題を用いて、想起の正確性や効率性を測定する。また、脳イメージング技術（fMRIなど）を用いて、記憶に関わる脳領域を特定する研究も行われている。

日常生活では、勉強、仕事、人間関係など、あらゆる場面で記憶が活用されている。例えば、試験勉強では、効率的な符号化と貯蔵、そして想起が重要となる。また、新しいスキルを習得する際にも、手続き記憶の形成が不可欠である。

2. 思考のバイアスと問題解決の手法

思考とは、情報を処理し、判断し、問題解決を行う認知過程である。しかし、人間の思考は常に合理的ではなく、様々な認知バイアスの影響を受ける。認知バイアスとは、客観的な情報に基づかず、主観的な判断や偏った解釈をしてしまう傾向のことである。代表的なものとして、確証バイアス（自分の信念を支持する情報に偏って注目する）、利用可能性ヒューリスティック（容易に思い浮かぶ情報に基づいて判断する）、代表性ヒューリスティック（典型的な例に基づいて判断する）などがある。これらのバイアスは、誤った判断や意思決定につながる可能性がある。

問題解決の手法としては、アルゴリズムとヒューリスティックがある。アルゴリズムは、必ず解に到達する手順であり、計算問題などによく用いられる。一方、ヒューリスティックは、解に到達する可能性が高いが、必ずしも解に到達するとは限らない近道的な方法である。代表的なヒューリスティックとして、手段-目的分析（目標と現状の差を分析し、その差を埋める手段を考える）や逆行分析（目標から逆向きに手順を考える）などがある。

日常生活では、意思決定や問題解決の場面で、認知バイアスの影響を強く受ける。例えば、買い物をする際、広告の影響を受けたり、口コミに惑わされたりすることがある。また、問題解決においては、効率的な手法を選択することが重要である。

3. 社会認知と態度形成

社会認知とは、他者や社会状況を理解し、解釈する認知過程である。これは、個人の経験、知識、信念、期待などによって影響を受ける。社会認知の過程においては、第一印象やステレオタイプといった概念が重要な役割を果たす。第一印象は、他者との最初の接触で形成される印象であり、その後の相互作用に大きな影響を与える。ステレオタイプは、特定の集団に対する固定的な信念であり、偏見や差別につながる可能性がある。

態度とは、特定の対象物や事象に対する評価的な反応である。態度形成には、学習、経験、社会化などが影響する。例えば、古典的条件づけやオペラント条件づけを通して、特定の対象物に対する態度が形成されることがある。また、周囲の人々の態度や社会規範も、個人の態度形成に影響を与える。

日常生活では、社会認知と態度形成は、人間関係や社会行動に深く関わっている。例えば、面接では、第一印象が採用に影響を与える可能性がある。また、ステレオタイプに基づいた偏見は、社会問題を引き起こす可能性がある。

各テーマ間の関連性

上記の3つのテーマは、互いに密接に関連している。記憶は、社会認知や思考に影響を与える。過去の経験や知識は、他者や社会状況の解釈に影響を与え、思考バイアスにもつながる。また、思考バイアスは、態度形成や意思決定に影響を与える。社会認知は、記憶や思考を通して形成され、行動に影響を与える。これらの相互作用を通して、人間の行動や心理が形成されていると言える。

参考文献 (授業で指示された方法に従って記述してください。)