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私が今回の授業で最も印象に残った理論は、アルバート・バンデューラが提唱した「観察学習」の概念である。観察学習とは、自分が直接行動して経験するのではなく、他者の行動やその結果を観察することで新たな行動パターンや知識を習得するプロセスを指す。その代表的な実験としては、「ボボ人形実験」が有名であり、大人が人形を攻撃的に扱う様子を見た子どもたちが同様に攻撃的な行動をとるようになる、という結果が示された。この現象は、周囲の人間やメディアを通じて、私たちが知らず知らずのうちに学習していることを浮き彫りにしており、非常に興味深いと感じた。私にとってこの理論が特に印象深かった理由は、日常生活のあらゆる場面で「真似る」という行為が、意図的か否かを問わず頻繁に行われていることに改めて気づかされたからである。

この観察学習は日常生活において幅広く応用できる。たとえば、仕事の場面を考えてみると、新入社員は先輩や上司の電話対応やメールの文章、さらには客への接し方などを観察しながら、その企業独自の慣習や効率的な作業方法を身につけていく。家庭においても、子どもは親の言葉遣いや礼儀作法を無意識のうちに取り入れ、同じようにふるまうことが多い。また、近年ではYouTubeやSNSなどのメディアの普及により、調理法やメイク術、さらには楽器演奏やダンスなど、専門性の高い技術までもが映像を通じて学べる機会が格段に増えている。一方で、攻撃的な言動や偏見に満ちた見解が拡散されると、そうした負の要素を観察学習によって取り込んでしまう危険性も高まる。従って、この理論を意識することで、私たちがどのような情報を受け取り、どんな行動モデルを身近に置いているのかを改めて点検する必要があると感じる。

私自身の経験としても、観察学習の影響を強く感じる場面が少なくない。たとえば、大学に入学して間もない頃、先輩が論文を論理的に組み立てるための資料収集や引用方法を丁寧に指導している姿をそばで見て学んだことで、自分自身も同じプロセスを踏むようになり、効率的にレポートや論文を執筆するコツを身につけることができた。また、アルバイト先での接客についても、最初は要領を得なかったが、優れた接客態度を示す同僚の動きや言葉遣いを観察し、それを自分の接客に取り入れた結果、客とのコミュニケーションがスムーズになり、売り上げにも貢献できたと実感している。このように、他者の行動とそれによる成果を注意深く見ることで、実際の行動経験を積むよりも早い段階で有益なスキルや態度を会得できるのは観察学習の大きなメリットである。しかし同時に、誤った行動や態度を何度も目にすると、それが本人の無自覚のうちに行動基準として根付いてしまうリスクもあると言える。

総括すると、観察学習は私たちの行動や思考に大きな影響を与える重要なメカニズムである。本授業を通じて理論を改めて知り、身の回りの情報やロールモデルの選択の重要性を強く認識するようになった。多様な価値観や行動パターンが存在する社会において、私たちは常に何かを「観察」し、また何かを「学習」している。リーダー層やメディアからのメッセージは特に影響力が大きいため、その表現や発信内容には責任と倫理観が求められる。私自身も今後は、教育や社会貢献の分野でプラスのモデルになるよう心がけたいと思う。観察学習の概念を理解した今、私たちは自分自身が発する言動が周囲に及ぼす影響を改めて考え、行動に一貫性と責任をもって取り組む必要があるだろう。こうした視点を持ち続けることが、今後の学業や将来のキャリア、さらにはより良い社会を形成していくうえでの大きなヒントになると確信している。