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「現代社会における看護職の役割と課題 ―授業での学びを踏まえた考察―」

現代社会において、看護職に求められる役割は大きく変化している。本稿では、ヴァージニア・ヘンダーソンの看護の基本概念を基盤としながら、現代の医療環境における看護職の新たな役割と課題について考察する。

  1. 社会の変化と看護職の役割

まず、高齢化の進展について考察する。日本は超高齢社会を迎え、2025年には65歳以上の人口が30%を超えると予測されている。この変化に伴い、看護職には従来の疾病管理に加え、高齢者の自立支援や生活の質（QOL）の維持・向上という役割が重要となっている。ヘンダーソンが提唱した「基本的ニーズを満たす援助」という概念は、高齢者ケアにおいて特に重要性を増している。

次に、在宅医療の需要増加という変化がある。病院完結型から地域完結型への医療体制の転換により、看護職には地域包括ケアシステムの中核を担う役割が期待されている。これは、オレム看護理論における「セルフケア能力の支援」という考え方と密接に関連し、患者の自己管理能力の向上支援が重要となっている。

  1. 看護職が直面する課題

これらの役割を果たす上で、看護職は以下の課題に直面している：

(1) 専門性の向上 高度化する医療に対応するため、継続的な学習と専門知識の更新が必要である。特に、医療技術の進歩に伴う新たな治療法や機器の理解が求められる。

(2) 多職種連携の強化 地域包括ケアの実現には、医師、介護職、福祉職など多職種との効果的な連携が不可欠である。

(3) 倫理的課題への対応 終末期医療や延命治療に関する意思決定支援など、複雑な倫理的判断を求められる場面が増加している。看護職には、患者の自己決定権を尊重しながら、最善の医療・ケアを提供するための倫理的判断力が求められる。

  1. 解決策と将来への展望

これらの課題に対する解決策として、以下を提案する：

(1) 教育システムの改革 基礎教育の充実に加え、実践的な継続教育プログラムの整備が必要である。特に、デジタル技術を活用した学習支援システムの導入が有効である。

(2) チーム医療の推進 多職種カンファレンスの定例化や、情報共有システムの整備により、効果的な連携体制を構築する。

(3) 倫理的意思決定支援の体制整備 倫理委員会の活用や、事例検討会の定期開催により、組織的な倫理的支援体制を確立する。

将来展望として、看護職には「ケアのコーディネーター」としての役割がより重要となる。医療と生活の両面から患者を支援し、多職種連携の要となることで、質の高い包括的なケアの実現が可能となる。

また、テクノロジーの進歩を活用しながら、対面でのケアと遠隔での支援を組み合わせた新しい看護モデルの構築も期待される。これにより、限られた人的資源でより効果的なケアの提供が可能となるだろう。

結論として、これからの看護職には、従来の役割に加え、変化する社会のニーズに応じた新たな役割が求められている。そのためには、継続的な学習による専門性の向上、多職種連携の強化、そして確かな倫理的判断力の育成が不可欠である。これらの課題に組織的に取り組むことで、より質の高い看護の実現が可能となると考える。